よくわかる糖尿病のくすり

1)飲み薬(経口薬)

糖尿病の治療に用いられる飲み薬(経口薬)の概要をご紹介します。お薬の服用に際しては、必ず医師・薬剤師の指示にしたがってください。

食事療法と運動療法を2~3ヵ月間続けているにもかかわらず、血糖値がコントロールできない場合、お薬による治療が必要になります。糖尿病の治療薬には、飲み薬(経口薬)と注射薬があります。

作用によって大きく3つに分けられる飲み薬(経口薬)

飲み薬(経口薬)には、以下の3種類があります。

  1. 糖の吸収や排泄を調節するお薬(糖吸収・排泄調節系)
    • α-グルコシダーゼ阻害薬
    • SGLT2阻害薬
  2. インスリンの分泌を促進するお薬(インスリン分泌促進系)
    • DPP-4阻害薬
    • スルホニル尿素(SU)薬
    • 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

    <解説> インスリン分泌低下

    インスリンの分泌は一般に基礎分泌(一定量が1日中分泌される)と追加分泌(食後すぐに分泌される)の2種類があります。糖尿病患者さんはインスリン追加分泌の必要なタイミングが遅れたり、分泌されるインスリンの量自体が低下したりします。また基礎分泌を含めインスリンの分泌全体が低下することもあります。これらの状態を「インスリン分泌低下」といい、②のお薬ではこのインスリン分泌低下を改善します。

  3. インスリンの抵抗性を改善するお薬(インスリン抵抗性改善系)
    • ビグアナイド薬
    • チアゾリジン薬

    <解説> インスリン抵抗性

    インスリンが分泌されても、インスリンがうまく働かなければ血糖が肝臓や筋肉、脂肪細胞へ取り込まれず、血糖値の高い状態が解消されません。このようにインスリンがうまく働かない状態を「インスリン抵抗性」といい、③のお薬ではこのインスリン抵抗性を改善します。

    ■糖尿病治療に用いられる飲み薬
    糖尿病治療に用いられる飲み薬
  1. 糖の吸収や排泄を調節するお薬(糖吸収・排泄調節系)
    α-グルコシダーゼ阻害薬 SGLT2阻害薬
    主な作用 小腸での糖の吸収を遅らせるお薬です。糖の吸収を遅らせることで、食後の血糖値の上昇を抑えます。そのため、特に食後の高血糖が目立つ患者さんに効果的です。 腎臓で働くお薬で、尿からのブドウ糖排泄を促し、血糖値を下げる働きがあります。ブドウ糖を排泄することで体重を減らす効果もあることから、肥満のある方によく使われます。
    服用方法 1日3回、食事の直前に内服します(食後に飲んでも効果は期待できません)。 1日1回、朝食前または後に内服します。
    副作用・
    注意点
    初めて飲む人は、おなかの膨らんだ感じや、下痢やおならが多くなることがありますが、飲み続けているうちにこのような症状は少なくなります。 腎臓に働くお薬なので、腎臓の機能が低下している場合は十分な効果が得られません。また脱水や尿路感染症に注意が必要です。食事が摂れないときは必ず中止しましょう。
    ■α-グルコシダーゼ阻害薬
    α-グルコシダーゼ阻害薬
    ■SGLT2阻害薬
    SGLT2阻害薬
  2. インスリンの分泌を促進するお薬(インスリン分泌促進系)
    DPP-4阻害薬 スルホニル尿素(SU)薬 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
    主な作用 インスリン分泌を促進するホルモン(インクレチン)は、DPP-4という酵素で分解されます。DPP-4阻害薬は、この酵素の働きを妨げるため、インスリンの分泌を促します。 インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島(β細胞)を刺激して、インスリン分泌を促進するお薬です。2型糖尿病の患者さんで、膵臓からのインスリン分泌のタイミングが遅かったり、インスリンの分泌量が不足していたりする場合に使われます。 スルホニル尿素(SU)薬と同様に、膵臓のランゲルハンス島(β細胞)を刺激してインスリン分泌を促進しますが、スルホニル尿素(SU)薬よりも速くインスリンが分泌されます。服用して30分後にはインスリン分泌が起こります。作用時間が短いため、食後高血糖がある患者さんに多く使われます。
    服用方法 主に2型糖尿病の患者さんに使われ、製剤によって1日1~2回内服します。 製剤によって1日1~2回内服します。 1日3回、必ず食事の直前に内服します。
    副作用・
    注意点
    スルホニル尿素(SU)薬など、他の飲み薬(経口薬)やインスリン注射と一緒に使うと低血糖を起こすことがあるので注意が必要です。 他の飲み薬(経口薬)に比べ、低血糖が起きやすいため注意が必要です。 低血糖に注意が必要であり、食前30分の内服で食事の開始前に低血糖を起こす可能性があります。

    関連リンク

    ■インスリンの分泌を促進するお薬
    インスリンの分泌を促進するお薬
  3. インスリンの抵抗性を改善するお薬(インスリン抵抗性改善系)
    ビグアナイド薬 チアゾリジン薬
    主な作用 肝臓において、糖以外の物質からブドウ糖が作られるのを抑えます。また腸管では、食物からのブドウ糖の吸収も抑え、血糖値を下げます。体重を増やしにくいという効果もあります。 筋肉や脂肪などでインスリンが効きやすくなり、食事が摂れないときは必ず中止しましょう。血液中のブドウ糖の消費を促進して、血糖値を下げます。肥満などインスリン抵抗性が存在する病態の改善に適したお薬です。インスリンの分泌量には影響しません。
    服用方法 1日1~2回内服します。他の飲み薬(経口薬)を一緒に使うこともあります。 1日1回、朝食の前または後に内服します。
    副作用・
    注意点
    強い倦怠感や吐き気、下痢、筋肉痛などがあらわれた場合は、服用を中止し、すぐに医師または薬剤師に相談しましょう。 体重の増加を起こしやすいので注意し、むくみや貧血にも気をつけます。また、特に女性では骨粗しょう症やそれに伴う骨折に注意が必要です。
    ■インスリンの抵抗性を改善するお薬
    インスリンの抵抗性を改善するお薬
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