よくわかる糖尿病のくすり

3)薬物療法で注意すべきこと

薬物治療中は特に低血糖、シックデイに注意が必要

低血糖とは

血液中のブドウ糖が少なくなりすぎた状態です(血糖値:70mg/dL未満)。
インスリンの分泌を促進するお薬(インスリン分泌促進系)やインスリン注射薬の量が多すぎた場合、お薬の量は変わらなくても食事量が少なかったり、運動量が多かったりする場合などに起こります。

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低血糖の症状

はじめは異常な空腹感やだるさを感じることがあります。その後、冷や汗、手のふるえ、動悸、ふらつき、生あくび、眠気、頭痛、吐き気などの症状が現れます。
さらに低血糖が進むと、立っていられなくなり、意識がもうろうとしたり、けいれんや昏睡などの症状が現れたりすることもあります。

低血糖を起こしやすいお薬は?

低血糖は飲み薬(経口薬)の中でも特にインスリンの分泌を促進するお薬(インスリン分泌促進系)や、インスリン注射薬で起こることがあります。また何種類かのお薬を一緒に飲んでいる場合も注意が必要です。

低血糖の予防

  • お薬を飲む(注射する)タイミングと量を、必ず医師の指示どおりに守ってください。
  • 食事の量がいつもより少ない、食事の時間が遅れた、いつもより激しい運動や長時間運動をした、このような時には血糖値が下がるので、低血糖に注意が必要です。
  • 他の病気でお薬を服用する場合にも低血糖が起こる可能性があります。糖尿病治療のためにお薬を服用していることを必ず医師に伝えてください。
  • 糖尿病患者用IDカード(緊急連絡用カード)を常に携行しましょう。また、ご家族や友人、同僚や教師などに低血糖時の処置方法を事前に説明し、低血糖が起こった時の対処に協力してもらえるようにしましょう。

低血糖が起こってしまったら

  • 低血糖の症状を感じたら、すぐにブドウ糖(ブドウ糖5~10g、砂糖20g、ブドウ糖を含む飲料・ジュース150~200mL)を摂り、症状が治まるまで安静にします。そのため、ブドウ糖を含む食品や飲料を、手の届くところに用意しておきましょう。ただし、アメやチョコレートなど消化吸収に時間がかかる食品は緊急時の対処には適しません。事前に確認しておきましょう。
  • 症状が改善しない時は必ず受診してください。また、低血糖を起こしたことを早めに医師に報告し、医師の指示を受けてください。
■低血糖の際に摂るとよいもの
低血糖の際に摂るとよいもの

シックデイとは

糖尿病の患者さんが、風邪などの感染症や消化器の病気、けがやストレスなどによって体調を崩したり、食欲不振のために食事ができなかったりする状態をシックデイ(sick day:病気の日)といいます。
日常的に血糖値がコントロールされていても、このような状態では高血糖になったり、ケトアシドーシス(糖尿病性昏睡)を起こしたりすることもあります。また、食事ができないため低血糖を起こす可能性や、嘔吐や下痢による脱水が起こる可能性もあります。

<解説> ケトアシドーシス

インスリンが極端に欠乏すると、肝臓や筋肉はブドウ糖の代わりに脂肪を利用します。すると、体内にはケトン体と呼ばれる物質が蓄積され、それが過剰に進むと体内は酸性(アシドーシス)に傾いていきます。これが、ケトアシドーシスという状態です。
ケトアシドーシスでは口渇、多飲、多尿、全身倦怠感などの症状が急激に起こります。さらに悪化すると呼吸困難や悪心・嘔吐、腹痛や意識障害(重度の場合は糖尿病昏睡)などが起こります。特に、糖尿病昏睡の場合は、一刻も早く入院し、点滴とインスリン注射が必要となります。

シックデイ対応の原則

  • シックデイのときには必ず医師に連絡し、医師の指示を受けてください。
  • インスリン注射で治療中の方は、自己判断で注射を止めないでください。
  • 3~4時間ごとに血糖値を測定し、血糖値が200mg/dLを超えて、さらに上昇する傾向があれば、その都度インスリンを追加します。この際も、医師の指示にしたがってください。
  • 脱水を予防するために、十分な水分を摂ることを心がけましょう。
  • 食欲がないときでも絶食を避け、消化のよいおかゆやアイスクリーム、ジュースなどを摂りましょう。

日常生活におけるシックデイの予防

インフルエンザが流行する時期には、予防接種を受けましょう。また、手洗い・うがいをすることで、普段から感染の予防に努めましょう。

薬物療法を行う上で知っておきたいこと、注意したいこと

  • お薬を飲む(注射する)時間、一回の服用量、お薬の名前・形・色など、ご自身が服用するお薬について知っておきましょう。また、「おくすり手帳」を常に携帯していれば、いつもと違う医療機関の受診時でも適切な対応を受けることができます。
  • お薬を飲み(使い)忘れてしまった時の対処法を医師に確認しておきましょう。
  • 薬物療法で効果がみられない時は、まず生活習慣を見直してみましょう。薬物療法だけに頼るのではなく、食事療法と運動療法を継続することが糖尿病治療には必要です。
  • 飲酒後は、お薬の効き方が異なってくる場合があります。外せない宴席の予定などがある場合は、あらかじめお薬の飲み方について医師に相談しておきましょう。
  • 高血圧症や脂質異常症など、糖尿病以外の病気の治療のために、服用するお薬の種類が多すぎてつらいときは、ご自身の判断で中断したりせず、必要な治療を継続し、病状を改善するためにも医師に相談してみましょう。
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